「チャイルドライン」は、18歳までの子どもが、誰でもいつでもどこからでも、無料でかけられる子ども専用電話です。お説教や指示はしません。子どもの声にただただ耳を傾け、気持ちに寄り添い受け止めます。
「受け手」と「支え手」
チャイルドラインは「受け手」と「支え手」から成ります。
「受け手」は電話を受けるボランティアでで、養成講座を修了した人たちです。特別な資格はありませんが、子どもの気持ちに寄り添い、受け止めることのできる資質が必要とされます。
「支え手」は「受け手」を支える人たちです。「受け手」が重い気持ちを抱えたままにならないよう気持ちをケアする役割です。いわば「受け手」のための「受け手」のようなもので、チャイルドライン独自のシステムです。
電話をかける子ども
電話をかけてきた子どもは、自分自身の気持ちや、抱えている困難について話すことで心を開放し、ほっとしたり、混乱した感情を整理したり、自分自身を癒したり、自分の気持ちを確かめたりします。自分を受け止めてもらえた、認めてもらえた、ということで、心が落ち着き、自尊心を取り戻したり、人間や社会への不信感から和らぐこともあるかもしれません。
会話のなかで、なにかきかっけをつかんだり、新たな一歩を踏み出すこともあると思います。ただ、なんとなく誰かとつながっていたい、そんな気持ちにつきあうこともあります。問題解決を目的とはせず、「気持ち」「心」を聴きながら一緒に考えることを大切にしている電話です。
「声だけでつながる、ほんのちょっとの居場所」それがチャイルドラインです。
また、子どもの声を聴いた者の責任として、電話から見える子どもたちの状況や問題を社会に伝えていくこと、これがチャイルドラインのもうひとつの大きな役割と考えています。
「子どもが主体の、子どもの最善の利益を実現するために、こころの居場所をつくり、受けと めた声を基に子どもが生きやすい社会をつくる」というミッションを掲げ、「子どもの権利条約」の理念を基本として活動をしています。子どもが生きやすい社会をつくるために、子どもの話を聴いたままにするのではなく、そこか ら見える社会課題や子どもたちの状況を社会に発信していくことや、行政・企業・他団体とも連携・協働することにも取り組んでいます。
学校などでいじめ問題が深刻化し社会問題になっていた90年代、子どもたちをサポートする手立ては何かないだろうかと考えていたころ、イギリスに「チャイルドライン」という子どもの声を聴く電話の活動(1986年開始)があることを知り、チャイルドライン支援センターの代表理事をつとめられた故・牟田悌三さんを含む世田谷の市民団体5人が視察に出掛けイギリス・チャイルドラインの研修を受けました。
そして1998年東京・世田谷で実験的に実施され、日本で初めて世田谷にチャイルドラインが誕生する運びとなりました。現在では39都道府県68団体(2021年4月現在)が活動しています。
電話で子どもの声を受け止める活動は、1970年にはヨーロッパを中心に始まっていました。
現在、世界ではヨーロッパ、アメリカ大陸、アジア、オセアニア、アフリカ等、多くの国に「子どものための電話」が開設されています。
2003年それらの「子どもヘルプライン」が国境を越えたネットワークを形成し、手をつなぐための組織CHI(CHILDHELPLINE INTERNATIONAL)が設立されました。
2003年第1回国際大会がアムステルダムで開催され、2005年には第1回アジア太平洋地域会議が東京で行われました。
2006年ストックホルムで開催された第3回国際大会では、110カ国以上200人が終結しました。国際大会の合間を縫って、大陸ごとの地域会議も開かれました。
子どもの問題を世界規模、地域規模で考えていこうという「電話」を媒体にした国際的連帯の輪に私たちも積極的に関わりたいと思います。
チャイルドライン設立のためのサポート、国や企業の窓口としての役割、全国のチャイルドラインが経験を共有し研鑽するための全国研修会、地域別研修会、チャイルドラインの活動に必要な研究などの各地のチャイルドラインの交流や研修、更なる普及をはかるネットワーク組織として、1999年に発足しました。
2001年には特定非営利活動(NPO)法人チャイルドライン支援センターとして認証されました。
現在は、認定特定非営利活動(NPO)法人チャイルドライン支援センターとなっています。
2001年5月5日の開局から20年、チャイルドラインとちぎは、これまでたくさんの子どもの心 に寄り添い、子どもたちの声を受けとめてきました。また、全国の仲間たちと力を合わせて、子どもにとっての最善の利益を実現すべく活動を続けてきました。こうした活動を継続し、その輪を広げていくためには、受け手の養成、継続研修、スタッフの 充実、資金確保など課題は常にありますが、子どもが生きやすい社会の実現に向けてその歩みを 進めていきたいと思います。これまでのご支援ご協力に深く感謝いたしますとともに、これからもどうぞよろしくお願いいたします。